現在、進行中の大阪北部の内科診療所のデザインの出張中の時間を見つけて
京都西陣地区を歩いて来ました。
というのも、最近はデーターベース集めで「建築再生、空間再生」ということで
香港、中国、日本を中心に事例を集めています。ときどき私は大学や専門学校で
講義を持ったりもするので、そのときにリノベーション事例として、日本の例は
海外に、海外の例は日本に紹介したいと思います。
寺の内通り界隈を歩きました。妻が6-7年前の同じ地区の様子に詳しかった
のですが、妻によるとアーティストによる町家活用運動が盛んだったこともあって、
今ではかなり広範囲に活用されてきているようです。
以前に地域の方に伺った話ですが、西陣界隈にアーティストが多く住むのは、
もちろん「町家が好きで住む」というのもありますが、少し他の視点で見ると、
まず制作しやすい環境というのがあります。
木工や金属アート、絵、陶器、なんでもですが、塗料や工具をたくさん使い
ますし、マンションではやりにくいことが多いです。そんなとき、天井も高いし、
そういった制限がなく、むしろものづくりをしてきた先輩たちがたくさん住む
魅力的な環境が西陣なわけです。すぐに展示会場になもなれて、新幹線の駅か
らもタクシーで30分以内。
家賃的にも、マンションを借りる程度で済んで、さらに住居兼アトリエが持てる。
実は上海の状況にもとても似ています。
上海は中国の中でも最も地価が高く、(北京の一等地を除く)
お店を持ちたいオーナーやアーティストにはなかなか高額な家賃は払えません。
リノベすればかなり安く借りられるのです。
また、路地のような立地は家賃もかなり安いので、「田子坊」のような自然
発生的な路地文化が生まれました。
また、上海には現在でも戦火を逃れた当時官僚の持ちものであったり、
旧租界地内に立てられた英国風やフランス風の西洋建築が多く残っており、
「新天地」などはそういった古い西洋建築を再利用した観光地としても
人気があります。
このプロジェクトが成功したことがきっかけとなり古い建物を利用した
商業地区が現在の若者たちに人気となっています。上海の出版会社が投資
して完成した古い工場を再生利用した商業オフィスの「Bridge8」や
、自然発生的にできた「田子坊」などかあります。
いづれも、若いアーティストやユニークなお店が集まることでストリート
カルチャーが生み出す魅力というか雰囲気にみんなが興味を持つようになり
ました。
また、何故それど多くのアーティストが生まれたかというと、上海は最も
アーテイストに開かれた街であり、ギャラリーも多いことです。
実際海外からの芸術売買するバイヤーやギャラリーも多いため、大きなマーケット
が存在しているからです。そのためアーティストが生き残りやすい環境にあると
思います。上海は中国においてファッションやデザイン、芸術の中心的都市と
言っていいでしょう。またそれが商業ベースに乗っかっているからです。
新天地や田子坊、Bridge8の写真はまた整理して載せますね。
Bridge8の記事
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/c_shanghai/07/
リノベーションがアーティストを呼び、街全体の雰囲気や文化を生みだしていく。
古い建物を活かして新しい空気を作る。そういったところにリノベの可能性が
あると思います。
そんな例が実は大阪でもあります。
大阪中崎町の長屋の事例ですが、
http://forum.inax.co.jp/renovation/forum/repo010-osakanagaya/report010.html
特に中崎町界隈の中でも一風変わった長屋リノベーションの事例が
「Salon de AManTO-天人-」
です。この中崎町界隈のリノベ運動を盛り上げたのもパフォーマーの
Junさんらしいです。
前に偶然入った「Yorucha」というギャラリー兼バーのオーナーも
Junさんの知り合いらしく下町のSalonを作り上げたという想いには
共感しました。
http://amanto.jp/japanese (地図)